『歌舞伎町伝説RPGナイトバタフライ』とは?
「今宵も歌舞伎町の伝説となり、ブランデータワーを築きあげろ!」
『歌舞伎町伝説RPGナイトバタフライ』は、ホストやホステスといった夜の世界をテーマとしたTRPGである。
プレイヤーはナイトバタフライと呼ばれる伝説的なホスト、あるいはホステスとなり、社会の怪物たるVIPを接客することで、彼らの内に巣食う心の闇を祓うことをゲームの目的としている。
PC――ナイトバタフライ
プレイヤーが演じるPC――ナイトバタフライは、最初から伝説を持つスーパーホスト、あるいはスーパーホステスである。
彼らは新宿歌舞伎町にある、とある高層ビルの最上階に存在する不夜城と呼ばれる秘密高級ナイトクラブに勤めている。
不夜城には100名ほどのナイトバタフライが所属しているが、そのなかでもPCたちはナンバーズと呼ばれるNo.1からNo.4のトップクラスの存在となるのだ。
物語の舞台――不夜城
不夜城は、長い歴史を持つ最高級の秘密会員クラブである。
そのはじまりは紀元前三世紀頃、前漢の時期にまでさかのぼるという。
高祖帝・劉邦によって創設された不夜城は、長い長い歴史を経て、やがて、接客によって世界のパワーバランスを調整する、完全中立の調停機関としての側面を持つようになる。
つまり、社会に影響を与えるほどの権力や財力を持つ社会の怪物――V
IPを専門で接客する特殊施設なのである。
そして、そうしたVIPたちが社会に悪影響を与えるもととなる心の闇を祓うことが、不夜城の頂点に位置するナイトバタフライたちの使命なのだ。
社会の怪物――VIP
ささいな発言や行動ですら、社会に影響を与えてしまう怪物こそが、ナイトバタフライたちが接客すべき対象――すなわち、VIPと呼ばれる存在である。
VIPたちは、その立場ゆえか、さまざまな快楽に対して耐性を持つ。
だが、それにゆえに彼らは、心の奥底に闇を抱えがちだ。
そして、そうした闇が淀むことで、社会は悪い方向へと転がってゆく。
そのため、彼らは自らの心の闇を祓うために、あるいは誰かから闇を祓ったほうがよいとアドバイスを受け、多忙な間に時間を捻出して、不夜城を訪れるのである。
そうして、VIPたちはナイトバタフライたちから、一夜の夢を授けてもらうのだ。
ナイトバタフライの作成
PCたるナイトバタフライの作成方法も非常に明快だ。なぜなら、本書に掲載されている12種類のスタイルのなかから、2種類を選択するだけだからだ。
なお、スタイルはPCたちの生き方や在り方を表すもので、次のような種類が存在する。
プレイヤーは、これらを組み合わせることで、自身がイメージするさまざまなホストやホステス、あるいはキャラクターを表現することができるだろう。
- ビューティ:素晴らしい美貌の持ち主であることを表す。
- キュート:優れた容姿に加え、誰からも愛されるカリスマ性を有することを表す。
- ロイヤル:本物の貴公子や令嬢であることを表す。
- ワイルド:健康的な色気や、素晴らしい肉体美の持ち主であることを表す。
- ホット:強い情熱や熱意の持ち主であることを表す。
- クール:沈着冷静な判断力の持ち主であることを表す。
- クレバー:優れた知性の持ち主であることを表す。
- コメディー:他者を笑わせる。あるいは楽しませることを得意とすることを表す。
- セクシー:異性、同性問わず、相手を魅了する魔性の存在であることを表す。
- レジェンド:吸血鬼や付喪神など、妖怪や人外の存在であることを表す。
- エンジェル:天真爛漫な癒し系。あるいは本物の聖人や天使を表す。
- デビル:邪悪な悪党。あるいは本物の魔人や悪魔を表す。
ダイスアトリションシステム搭載
『歌舞伎町伝説RPGナイトバタフライ』のシステムは、非常にシンプルだ。
PCは能力値に指定された数の六面体を用意、それを振って出目を総計するだけである。
この方法には、細々とした修正値の加算がなく、計算が非常に楽である。
ただし、VIPはPCたちにストレスを与えてくる瞬間がある。
その際に、PCたちは自身が準備したダイスの数を割り振り、相手から受けるストレスを軽減しなければならない。
が、ダイスを割り振りすぎると、接客に用いるダイスの数が足りなくなる場合がある。
そのためにPCは、状況を見て、ダイスを割り振る数をコントロールしなければならない。
これこそが、『歌舞伎町伝説RPGナイトバタフライ』に採用されたコアシステム・ダイスアトリションシステムである。
無論、「特定の出目のみを振り直す」や、「2の出目を5の出目に交換する」など、ダイスを振るだけではない、特殊な効果がシンプルなダイスアトリションシステムにさらなる奥深さを与えている。
明快でお手軽なシナリオ進行
『歌舞伎町伝説RPGナイトバタフライ』のシナリオ進行も、非常にシンプルだ。
物語はフェイズと呼ばれる単位で進行し、さらに、PCたちがどこで、どのような行動を取るかがタイミングと呼ばれる単位によって明確化されている。
これにより、GMの負担を極限まで軽減。
ロールプレイに注力するよう設計されているのだ。
シナリオはVIPの設定のみ
『歌舞伎町伝説RPGナイトバタフライ』のシナリオ作成も、非常にお手軽である。
なにせ、VIPを接待するだけなので、GMはVIPの設定と心の闇以外、設定する必要はない。
無論、そうしたシンプルさゆえに、GM自身が独自のルール設定やアレンジを加えられる土壌を残していることにもなっている。
参加者のノリさえ良ければ、その場でVIPをでっちあげ、アドリブでセッションを進行させることも可能であろう。
最後に
『歌舞伎町伝説RPGナイトバタフライ』は、とにかく、遊んだ後のスカッとできるTRPGである。
現代ファンタジーを題材としているため、PCがどのような行動を取ろうとも許容する土台がある。
また、GMも進行をほぼ確認するのみであるため、負担も少ない。
おすすめの作品なので、是非とも一度、遊んでみてほしい。
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