『呪印感染』とは
「呪印者となってしまったキミは……迫り来る恐怖から生還できるのか――」
『呪印感染』は、ジャパニーズホラー風の物語を題材としたTRPGである。
プレイヤーは、人には言えない《過去と秘密》を有する一般人――呪印者となり、日常を侵食する“なにか”に立ち向かい、生還することをゲームの目的としている。
PC――呪印者
物語の舞台は、現代の日本。
プレイヤーが演じるPC――呪印者は、そのなかで暮らす一般人たちである。
ただし、彼らには、人に決して言うことができない、恐ろしい過去と秘密を有している。
その過去と秘密がキッカケとなり、呪いの刻印たる呪印を手に刻まれてしまうことになるのだ。
そして……呪印を刻まれた呪印者のもとには、死をもたらす恐ろしい怪事件が、必ず訪れる。
都市伝説:“呪印感染”
呪印をもたらす『呪印感染』は、現代日本の都市伝説だ。
その発端となったのは、どこにでもある、次のチェーンメールだった。
差出人:juinkansen@xxxxx.co.jp 送信日時:1999年x月x日06:06 宛先:〇〇〇 件名:呪印感染って、知ってる? 「初めまして。突然ですが、あなたにご報告がございます。 残念ながら、このメールを受け取った際、あなたは呪印に感染してしまいました。 そのため、これからあなたには十の災いが降りかかります。 それがいつ起こるのかについては、わたしにもわかりません。 整理順の状況によっては、あなたに災いが降りかかることなく、一生を終える可能性もあります。 いずれにせよ、あなたは目前に迫る災いを自ら退け、日常へと生還しなければなりません。 さもなくば、あなたはきっと、恐ろしい死を迎えるでしょう。 何を言っているのか、わからないといった感じでしょうか? しかし、これは仕方がないことなのです。 なぜなら、これらの理由はあなた自身の過去と秘密にあるのですから(あなたには、思い当たる点があるはずです)。 ただし、この呪いには見返りがあります。 もしもあなたが十の災いを退けたのであれば、あなたの願いをアカ□□□レイが、必ずかなえてくれます。 なお、この呪いは十の災いを退けるまで絶対に解けることはありません。 もし、この話を信じて願いをかなえたいのであれば、このメールをあなたの知り合い十人に送信してください。 もし、この話を信じないなら、このメールをあなたの知り合い一人に送信してください。 なお、メールを無視した場合、あなたは自動的に呪印者に選ばれてしまうので、あしからず。 いずれにせよ、選ばれた人は利き手の甲に呪印と呼ばれる刻印が浮かびあがります(それが、災いの起こる合図です)。 そして、十の災いを退けられなかった人は近いうちに必ず死んでしまいますので、どうかお気を付けください。 それでは、あなたが生還して最後に願いをかなえられえることを心からお祈りしております」
20世紀初頭のインターネット黎明期、この『呪印感染』は不特定多数の人々によって磨き上げられ、どういうわけか、本物の呪いとして機能するようになる。
そう。まるで物語そのものが、意志を持ったかのように――
そして現在、主に若者たちを中心に、この『呪印感染』の噂は囁かれ、感染拡大を続けている。
なお、現時点で最も多く目にする『呪印感染』の噂は、主に次のような内容である。
- チェーンメールを受け取った者や呪印感染で穢れに感染した者、特別な過去と秘密を持つ者は、手の甲に呪印と呼ばれる青い刻印が浮かび上がる。
この刻印を持つ者のもとには必ず、十の災いと呼ばれる死の運命――怪事件が訪れる。 - 呪印を宿した者は、呪印者と呼ばれる。
彼らには必ず、十の災いと呼ばれる死の運命が訪れるが、それを全て退けた者は、自らの願いをかなえてもらえる。 - 呪印は時間の経過とともに、端から徐々に赤く変色してゆく。
呪印が最後まで赤く染まった場合、呪印者には逃れられない死の運命が待ち受けている。
また、災いを退けることに成功した場合、呪印は鮮やかな黒色へと変色する。 - 自身に訪れる死から逃れられないと悟った際、呪印者の呪印は穢れとして自動的に……自らの大切な人へと感染してしまう。
呪印者の作成
PC――呪印者の作成方法は非常に簡単だ。
なぜなら、社会的な立場を表す職業と――PCが秘匿している過去と秘密を決めるだけだからだ。過去と秘密はPCの特殊能力であり、物語上のPCの行動指針――ロールプレイ面のハンドアウト――なども兼ねている。そのため、復讐者という過去と秘密を持つ探偵の場合、復讐者としての演出を行ないながらも、物語に対して関係性を持たせることができるのである。
宿命を操り、敵の正体を探れ
PCたちは判定を行なう度に、GMが管理する4個のダイスプール――宿命から、出目を1個以上交換しなければならない。この宿命を利用することで、PCたちは判定の状況を有利に展開させることができだろう。
だが、油断してはならない。
なぜなら、GMが操る“なにか”は、宿命の出目を利用して、PCたちを妨害する効果――正体を現わそうとするからだ。
そのため、PCたちは協力しあいながら、この宿命を操り、自らに災いが降りかからぬよう、立ち回らねばならないのだ。
大切な人への呪印感染
残念ながら、PCたちが『呪印感染』の物語をクリアするのは、非常に困難である。
そのため、PCが怪死してしまうことも、しばしばあるだろう。
だが、それでも恐怖の物語が終わることはない。
なぜなら……その呪印は、今度は怪死したPCの大切な人へと感染してしまうからだ。
死の間際の葛藤と、呪印の感染によって変化する人間関係……そして、困難への挑戦こそが、『呪印感染』の醍醐味と言えるだろう。
最後に
『呪印感染』はシンプルな判定方法とシステム化されたシナリオ進行により、手軽にホラーを味わうことができるTRPGである。もし、あなたが真の恐怖に対して挑みたいのであれば、ぜひとも本書の物語を体験してみてほしい。
そして……本書に掲載されている十の災いの後に訪れる結末を、ぜひとも自身の眼で確かめてほしい。
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